銀座エリア最大級の商業施設「GINZA SIX」。その地下2階に広がるフードフロアは、「お酒の楽しみ方を広げたい!」という人にこそ、ぜひ訪れてほしいスポット。今回は「dancyu食いしん坊倶楽部」のお酒を愛するメンバーたちが、「いまでや銀座」、「J.W.C LIBRARY(ジェイ.ダブリュ.シー ライブラリー)」、「ワインショップ・エノテカ」を巡りました!
店内に足を踏み入れると、蔵元直送の日本酒や焼酎、日本ワインなど約600種類がずらりと並ぶ圧倒的な品揃え。日本酒蔵と一緒に造ったオリジナルの酒や、日本酒の熟成にも取り組んでいる酒販店「IMADEYA」が「GINZA SIX」に構えた店舗だ。地域別に分類されたセラーには、それぞれの酒が生まれた土地柄や蔵元の個性、味の特徴などを説明したポップが掲げられ、「銀座から酒文化を発信していきたい」という熱い想いが感じられる。
この「いまでや銀座」に備えているのが、角打ちが楽しめるバーカウンターだ。今回はdancyu食いしん坊倶楽部の日本酒好きメンバー、浦田りほさんが「選べる飲み比べ」(3種類2,200円)を体験してみることに。
「フルーティーでさわやかな、やや酸味のある日本酒が好きなんですが、違う味わいにも出合ってみたいですね」と、浦田さん。
そんなリクエストを受けて、店長の片岡昌弘さんが選んだのは、「IMADEYA」オリジナルの3本。石川県「車多酒造」の“五凛 純米 ドンブレンド 生酒”は、「お米の味わいをしっかり感じさせながらもドライ。きっとお好きだと思います」とのアドバイスに、「すごく好みです。フルーティーで香りがあるのに、すっきりしてて重くない」と浦田さん。
2杯目の“山形正宗1898”(山形県「水戸部酒造」)は冷やから燗酒まで、さまざまな温度帯で楽しめる一本だ。
「日本酒は温度帯を変える楽しみもあるのですが、酒器でも味わいが大きく変わります」と片岡さん。そこで、木製の酒器とワイングラスで飲み比べてみることに。
「木製だとやわらかい味なのに、グラスだとドライな感じ。酒器ひとつで、味ってこんなに変わるものなんですね」と、浦田さんも感動!
最後に味わった“【IMADEYA AGING】醸し人九平次 黒田庄に生まれて 2019”(愛知県「萬乗醸造」)は、同店が熟成させた特別な一本。
「日本酒を熟成する文化はまだ一般的ではないかもしれませんが、時を経ることで角がとれて旨味と甘味、酸味のバランスが変わってくるんです」(片岡さん)
フレッシュな味わいとは異なる円熟味を味わった浦田さん、飲み比べ体験に大満足!
2021年「GINZA SIX」に誕生したウイスキー専門店「Jule's Whisky Collection」。国内の蒸留所を中心に、各地を巡って集めた希少なウイスキーは、唯一無二の品揃え。さらに2023年3月、同店に隣接するスペースにウイスキーバー「J.W.C LIBRARY」が新規オープン。「一度は飲んでみたい」という銘柄をハーフショットで味わえるうれしいスポットだ。
この充実のラインナップを味わうのは、dancyu食いしん坊倶楽部メンバーのウイスキー愛好家、桟敷俊信さんだ。まずは試飲できる銘柄の一覧をチェックして、埼玉県秩父市で造られる注目のウイスキーを発見した桟敷さん。
「あ、“イチローズモルト”がある!先日初めて飲んで、おいしかったんです。それでジャパニーズウイスキーをもっと勉強したいなと思ったんですよね」
そこで、今回は店長の岩田なつみさんにお薦めを選んでもらった。
桟敷さんが好んでよく飲むのは、スモーキーなピート香(野草や植物などが炭化してできた泥炭)が効いた、アイラ島のシングルモルト。
「好みをお聞きして、ぜひ飲み比べていただきたい3銘柄をセレクトしました」と、岩田さん。
まずは代表的な2銘柄、サントリー“白州”(500円/15ml)、ニッカウヰスキー“鶴”(800円/15ml)を飲み比べ。
「“白州”はバランスがよくて、すごく繊細な日本のウイスキーらしい味。“鶴”はとろっとした舌触りで、マイルドな飲み口。どちらも方向性は異なるけれど、ジャパニーズウイスキーらしい奥ゆかしい味ですね」と桟敷さん。
「サントリーは“山崎”が人気ですが、より個性があるのが“白州”。香りの爽快感とスモーキーさを味わえます。“鶴”はまさにまろやかなピート香を感じていただきたくて選びました」と岩田さん。
次に桟敷さんが試飲したのは、2016年に誕生した北海道「厚岸蒸溜所」が造る“厚岸ブレンデット雨水”(1,000円/15ml)だ。
「厚岸は“日本のアイラ島”ともいわれるほど、独特の気候風土が似ていて、創業者自身もアイラモルトをめざして造っています」
この説明に、目を輝かせた桟敷さん。いざ、味わってみると「日本のウイスキーでこんなにピート香が効いたものがあるなんて!ほかの銘柄も飲んでみたいですね」と、新たな出合いに心躍るひとときとなった。
気軽なデイリーワインから、特別な日に開けたい高級ワインまで、どんなニーズにも応えてくれる「ワインショップ・エノテカ」。数ある店舗の中でも「GINZA SIX」店は、広さも品揃えも国内最大級の規模を誇る。さらに、銀座の喧騒を逃れ、気になるワインをゆったり座って楽しめる、28席ほどのカフェ&バーを併設。年間を通じてたくさんのテイスティングイベントを開催し、ワイン好きの注目を集めている。
dancyu食いしん坊倶楽部メンバーの西堀はるかさんは、夫婦ともにワイン好き。仕事帰りに「GINZA SIX」に立ち寄り、おつまみやスイーツとともに、頑張って働いた自分へのご褒美としての1杯を楽しむことも多いそう。ただ、「ワインは好きなのですが、詳しいわけではないので、同じものを選びがち。もっと選択の幅を広げたいんですよね……」とのお悩みに、店長の梶田浩司さんからアドバイスをもらうことに。
「いつもその日の気分や好みをスタッフの方に伝えて選んでもらうのですが、専門知識がないので緊張しちゃって……」と、打ち明ける西堀さん。梶田さんは「知識がなくても大丈夫。気軽にきてください」と前置きしながら、「好みの味を伝えたり、テイスティングイベントに参加したりするのもいいんですが、最近飲んでおいしかったワインを記録しておくのも、選択の幅を広げる方法のひとつです」とアドバイス。
「例えばレストランで飲んで気に入ったワインのボトル、スマホで撮影していませんか?そのエチケット(ラベル)をスタッフに見せてください。同じものはなくても、国や産地から味わいの見当はつくので、お薦めしやすくなります」
レストランではペアリングのコースを頼むことも多いという西堀さん「いつも撮影するだけで満足していました。そんな使い方があったんですね!」と笑顔に。
この日西堀さんがバーでオーダーしたのは、イタリアの美泡と呼ばれる“フランチャコルタ・アルマ・グラン・キュヴェ・ノン・ドザート”のグラス(1,650円)。「すっきりした泡が飲みたいとのことで、フランチャコルタの中でもより辛口に仕立てたものを選びました」と梶田さん。こうした会話を交わしながらワインを選べるのも「ワインショップ・エノテカ」の醍醐味なのだ。
地下フロアでアペリティフを楽しんだら、そのまま6階・13階のレストランフロアへ移動して食事をするのも、「GINZA SIX」の楽しみだ。イタリアン、フレンチ、中華のほか、天ぷら、鮨、鰻、焼き肉など、多彩な顔ぶれのレストランが揃う。
この夏には、「魚とごはん 黒座椿亭」が新たにオープン。旬の魚料理に合わせて多彩な品ぞろえのお酒を楽しめるほか、海の幸をふんだんに取り入れた“海鮮ひつまぶし”が同店の看板メニュー。1杯目はそのまま海の幸とご飯で、2杯目はだしをかけてお茶漬けにすることで、ひつまぶしのように味わえる。個室も備えているので、大切な人と落ち着いた時間を過ごしたいときにも重宝する。
「GINZA SIX」を訪れて、新たな銀座の楽しみ方を見つけてみてはどうだろう。
文:大沼聡子 撮影:たかはしじゅんいち