バルサミコ酢、エキストラバージンオリーブオイル、トマト缶――あなたのキッチンにもありますよね。 定番アイテムになって久しいこれらの食材ですが、本当にそのポテンシャルを生かせていますか?そもそも、バルサミコ酢って「ワインビネガー」と何が違うんでしょう?「エキストラバージン」は何が特別なんでしょう? イタリア料理に目覚めた利亜さんと一緒に学びましょう。
バルサミコ酢は、「バルサミコ=芳香性」という名前のとおり、華やかな香りが特徴で、その昔は貴族の贈り物だった。ワインビネガーもバルサミコ酢もぶどうからつくられるのは同じだが、その製法は大きく異なる。ワインビネガーはアルコール発酵したものをさらに酢酸で発酵させたもの。一方バルサミコ酢は、ぶどうを搾汁し、煮詰めて発酵させ、木樽で熟成という、なかなかの手間と時間がかけられている。熟成期間が長いこともバルサミコ酢の特徴で、数年のものから20年を超えるものまでさまざま。熟成期間が長いほど、濃度と糖度が高くなり、つやが出て、香りの奥行きも深まる。当然、価格も高くなる。
熟成が進んだものはそのままかけてソースやドレッシングとして使い、手頃な価格のものは加熱調理に使うとよい。バルサミコ酢は動物性の脂と相性がいいので、牛肉の赤ワイン煮込みに加えたり、ホタテのソテーにバターと一緒に加えたりすると、味わいも香りも豊かな仕上がりになる。
オリーブの実を搾ってつくるのがオリーブオイル。なかでも、実を搾ったものだけを用い、香りや成分の基準を満たしたものが「バージンオリーブオイル」と呼ばれる。さらに酸度や香りの厳密な基準を満たしたものだけが「エキストラバージンオリーブオイル」となる。だから本当の「エキストラバージン」は高価。小さくて遮光性がある容器のものを買い、できるだけ早く使い切ることをお薦めする。オリーブは秋に収穫されるので、秋から冬にかけてのこの時季はオリーブオイルの「新物」が出回る。自分好みの一本に出会えるかもしれない。
エキストラバージンの特徴はなんと言っても香り。パンにつけるだけでも楽しめるが、野菜のディップ「ピンツィモーニオ」にすると、食材の香りとの相乗効果を味わえる。また、お刺身や目玉焼きにかけても香りとコクが出て◎。オリーブオイルの香りは加熱するととんでしまうので、パスタに使う際には火を止めてから最後にかけるとよい。
トマトの水煮缶詰には「ホールタイプ」と「カットタイプ」があり、トマトが丸ごと入っているホールは、サンマルツァーノ種を使ったものがほとんど。ダイス状に刻んであるカットは丸形のラウンド種が使われていることが多い。ホールは煮込むことで味わいが深くなり、カットはフレッシュな味わいが持ち味。このほか、甘味の強いミニトマトの缶詰もあり、ピザのトッピングなどに向いている。
トマト缶でパスタソースをつくるなら、トマトの水煮を加熱し、塩を加え、ゆでたパスタを入れてからめるだけでシンプルな「パスタ・アル・ポモドーロ」が出来上がる。水煮トマトをフライパンに入れる際、潰したりハンドミキサーで攪拌しておくと、まろやかに仕上がる。フレッシュな味わいが好みなら加熱時間を短くするとよい。逆に水分が多かったり酸味が立ちすぎているときは、長めに加熱する。もうひと手間加えて、最初にオリーブオイルで玉ねぎをよく炒めてからトマトの水煮を入れると、コクのあるトマトソースになる。
イタリア大使館 貿易促進部
公式サイトへ※この記事はdancyu「2019年12月号〜2020年11月号」掲載 編集タイアップ記事をまとめたものです。
文:井本 千佳 写真:植田 真紗美 イラスト:たかはし みどり