「テロワージュふくしま」で美酒美食を満喫。これからの地産地消とは?

「テロワージュふくしま」で美酒美食を満喫。これからの地産地消とは?

  • Sponsored by テロワージュふくしま実行委員会

福島の優れた「食材」「お酒」「料理」の魅力を丸ごと発信するプロジェクト「テロワージュふくしま」。先頃、この取り組みの記念すべきスタートアップとして、お披露目パーティーが開催された。その会場で発表された本プロジェクト最大のテーマとなる「究極の美味しさは、産地にあり」の理念とは?

「究極の美味しさは、産地にあり」を体現するプロジェクト

あなたは福島に行ったことがありますか?
訪れたことがある人にはおわかりいただけると思うが、福島はとてもいいところだ。どことなく町がのんびりしていて心の温かな人たちが多い。風光明媚な自然も点在し、ゆったりくつろげる温泉だってある。

田園風景
穏やかでのどかな田畑の風景。福島の素晴らしい風土を語っているかのよう。

特に、酒好きにはたまらない土地だろう。福島は、日本酒の品質を競う全国新酒鑑評会で金賞を受賞した酒蔵の数が、7年連続日本一の酒処。スター銘柄の「飛露喜」や「冩樂」、往年のファンから愛される「大七」に「奥の松」、最近、注目株の「にいだしぜんしゅ」や「楽器正宗」など、個性豊かな酒蔵が多数あることでも有名だ。

日本酒
全国的にも評価の高い酒蔵が多く、世界にも誇れる福島の日本酒。

一方で食材に焦点を当ててみると、これだ、と思い浮かぶものがなかなかない。海にも山にも囲まれた福島には、肉や魚、野菜など美味しいものがたくさんあるはずなのに。なぜか地元の人たちは、どこか控えめで多くを語らない――。

そんな控えめな福島だが、先頃、地元の食と酒の魅力を発信する一大プロジェクトが発足。「ふくしまワイン広域連携協議会」と「福島民友新聞社」がタッグを組み、実行委員会を結成して始動したのが「テロワージュふくしま」だ。

現地の福島だからこそ味わえる美食体験を発信

テロワージュとは、産地や気候風土を意味するフランス語、テロワールと、食と酒を組み合わせるマリアージュの二つの言葉を掛け合わせた造語で、福島の食材を使った料理と福島の酒をペアリングし、生産者とともに「究極の美味しさは、産地にあり」を国内外にPRする取り組みだ。
このプロジェクトを始めるきっかけについて、北村秀哉実行委員長が語ってくれた。

北村実行委員長
熱い想いを語る北村実行委員長。彼の情熱によって本プロジェクトが実現できた。

もっと福島の食材や生産者、料理人にスポットライトを!

「テロワージュとは、宮城にある『秋保ワイナリー』の毛利親房さんが考えた言葉であり、提唱してきた理念です。私が、この土地の魅力をもっと伝えたいと思い続けていたときに、毛利さんと出会い、この言葉に深くコミットしました。毛利さんも東北全体で食のツーリズムをつくろうと働きかけてくれたので、まずは福島でテロワージュを体現したいと思いました。福島は日本酒が有名ですが、ワイン造りのポテンシャルもあります。それと、実はないものを探すほうが大変なくらい、食材も豊富なんですよ。ですから、美味しい酒の力を借りながら、まだあまり知られていない福島の食材を使った料理や生産者などにもスポットを当て、総合的な魅力を「テロワージュふくしま」の活動を通じて国内外の皆様に伝えたいと考えています」(北村実行委員長)

会場
お披露目パーティーの会場となった「MINORIE」。

このプロジェクトのスタートアップとして、去る1月31日に福島市内の「ma saison marriage & MINORIE」で開催されたのが、「テロワージュふくしま」お披露目パーティーである。
本イベントでは、早くからプロジェクトに賛同していた、福島を代表するフレンチの名店「HAGIフランス料理店」の萩春朋シェフと「なか田」の中田智之シェフをゲストに迎え、「MINORIE」の國岡弘益シェフとチームを結成。福島の食材をふんだんに使った料理に日本酒やワインなど、地元の名酒を合わせるペアリングコースを披露した。

料理と酒を通して伝える生産者とシェフの静かな情熱

実際にペアリングコースを体験して、まず、驚いたのが、食材が多彩なことだった。
例えば、萩シェフが作った一品目の冷たい前菜から福島尽くしである。30代の主人が一人で生育から販売まで手がけているという「白河高原清流豚」、鶏肉は「川俣シャモ」、野菜は郡山「ハッピーファーム」の無農薬人参、パイ生地に使った小麦粉も相馬地区でつくられているものだ。合わせたワインは「ふくしま逢瀬ワイナリー」のロゼ。キリリとした軽やかな味わいで、素材に優しく寄り添っていた。

冷たい前菜
萩シェフが披露した一品はパテ・アン・クルート。豚のモモ肉や肩ロース、鶏肉の首肉やレバーなどを煮込んで固め、パイ生地で囲った冷たい前菜。「ふくしま逢瀬ワイナリー」のロゼワインとのペアリングで。

「福島の食材はまさに“眠れる獅子”。まだ世の中に紹介されていない素晴らしい食材がいっぱいあるんですよ。肉や野菜だけではなく、福島は魚種も豊富。ノドグロやズワイガニも水揚げされますが、ほとんどが県外に流出してしまうので、地元でもあまり知られていません。鮮度がよくて旨いものがすぐ手に入るのに、地元で消費できる店がまだまだ少ないからなんです」と少し残念そうに語る萩シェフ。

萩春朋シェフ

萩 春朋

笑顔も素敵な萩春朋シェフ。福島県いわき市生まれ。調理師学校卒業後はフランスで修業。帰国後、都内のレストランで研鑽を積み、23歳の若さで地元いわき市に「ベルクール」をオープン。2011年5月に「HAGIフランス料理店」に改名し、昼夜1組(10名まで)のみのフランス料理店として人気を集める。2013年にはフランス・パリで開催されたフェアに参加。日本人として初めて大統領官邸(エリゼ宮)の厨房に入り、オランド大統領(当時)へ福島の食材を使用した料理をふるまう。2014年には農林水産省より「料理マスターズ2014」に選ばれる。

テロワージュという取り組みで、地元の食材を地元で消費する「地産地消」を実現するためにも、改めて食と酒の融合を追究したいと萩シェフは考えている。
「地元の優れた食材を使った料理と美味しい酒との組み合わせを、われわれからどんどん発信することが重要です。そうすれば、福島が誇る最高の食材と酒が地元にとどまると考えています。生産者と料理人の交流をもっと活発にして互いが向上し、地元でしか味わえないマリアージュを体験できる店が増えていけば、スペインのサンセバスチャン(人気バルが密集する地域)のように、福島がさらに楽しい町として発展する日も夢ではありません」(萩シェフ)

魚料理
4皿目に登場した中田シェフによる魚料理。ふっくらした鯉の身と白菜の甘味が、ほのかな桜色をした「仁井田本家」の日本酒「かをるやま」の程よい酸味と溶け合う。濃厚な旨味の余韻が長いペアリングで、思わずため息が出る。

気候と土壌に恵まれた食材の可能性は無限大

「福島で鯉?」
来場者の一同が驚きの声を上げた一皿もあった。郡山「熊田水産」で養殖されているという「磐梯鯉」をパリッとソテーし、同じく郡山「鈴木農場」の「黄愛85」という白菜を合わせた魚料理で、臭みのない鯉の旨味と白菜の甘味が見事に調和した逸品だった。

この料理を手がけた中田シェフは、福島の食材の魅力をこう語る。
「福島は東西に長い土地なので、地域によって気候が微妙に異なります。例えば、浜通りのいわき市は冬でも暖かく果物類が育ちやすい地域です。白菜一つ取っても郡山だけで5種類の品種がありますし、茄子は煮て美味しい品種もあれば、焼いたほうがいい品種などもあり、同じ野菜でも品種毎に調理法を変えることができるのが、福島食材の強みなんです」

しかし、その強みが今までは表面化しなかったのは、やはり、控えめな生産者が多いからなのだと中田シェフは教えてくれた。

中田シェフ

中田智之

中田智之シェフ。神奈川県に生まれるが、子供時代に福島県郡山市へ。調理師学校卒業後は都内のレストランで働いた後、山形「アル・ケッチァーノ」奥田政行シェフの元で地産地消の精神を学ぶ。食育の講演会やアドバイザー業をしながら2019年2月に一日2組限定のレストラン「なか田」をオープンさせる。

地産地消から『知』産『知』消へ。食材の素晴らしさをアピールしたい

「福島には職人肌の人が多く、『美味しいよ』とアピールもしなければ、『自分がつくった』というような自己主張もしません。みなさん、表に出ることに対して遠慮がちなので歯がゆいですよ(笑)。なので、僕はそんな生産者にとって、その魅力をお客様に伝える営業マン的な存在でもありたいですね。僕が知っている生産者の方々がつくった食材を、僕の知っている人たちに食べてもらって、福島にもっと足を運んでほしい。自分にとって大切にしたい地産地消は、『知』産『知』消でもあるんです」(中田シェフ)

各テーブルに置かれた当日のメニュー。使用した食材名や提供した酒の銘柄がわかりやすく書かれていた。
当日のパーティーには地元の生産者や酒蔵、ワイナリーの方々も参加し、大いに賑わった。
萩シェフと中田シェフを筆頭に「MINORIE」のシェフたちが一丸となって進行。初めてとは思えないチームワークだった。
会場となった「MINORIE」の國岡弘益シェフが披露した肉料理。贅沢にもフォアグラを伊達鶏の胸肉で包み、仕上げには黒トリュフを散らして、県産の冬野菜をつけ合わせに添えた。「国権酒造」の山廃純米 無濾過生原酒を熱燗で合せた。

賛同店舗も増加中。訪れて知ることができる福島の食の魅力

現在、「テロワージュふくしま」に賛同している料理人、つまり飲食店や宿は20店舗(3月13日現在)ほど。カジュアルな店から、プレミアムなシーンにぴったりなレストランまで揃っている。実行委員会の面々が実際に訪ね歩き、共感を得た厳選の加盟レストランは公式WEBサイトにて続々と公開中。また、料理人を支える生産者の情報も順次、公開していくという。

「今後は、賛同してくれる加盟店をさらに増やし、実際にテロワージュを体験できるイベントも積極的に開催したい。「テロワージュふくしま」は、福島を訪れる人たちにとって、いつまでも記憶に残る素敵な旅を手助けするコンテンツとしての役割も担いたいと考えています」(北村実行委員長)

集合写真
開催された「テロワージュふくしま」お披露目パーティーの立役者でもある萩シェフ(左)、北村実行委員長(中)、中田シェフ(右)。これからも中心となってプロジェクトを守り立てていく。

福島には、美味しい食も酒もある。
福島には、熱心な生産者も料理人もいる。
そのどれかではなく、すべてを体感できるテロワージュという楽しみを味わうためには、何がなくとも福島を訪れなければならない。
行ったことがある人も、ない人も、ぜひ福島へ!

お問い合わせ情報お問い合わせ情報

「テロワージュふくしま」は、「究極の美味しさは産地にあり」を理念に、地域の食
材を使った料理と地域のお酒の組み合わせ(マリアージュ)を磨き、国内外の方々に
福島の食の素晴らしさをお伝えするプロジェクトです。

「テロワージュふくしま」について詳しくはこちら

取材・文:山内聖子 撮影:菅野祐二

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