南に瀬戸内海、北には中国山地が横たわる広島県。ひとつの県でありながら、さまざまな地形と気候が共存している。だからこそ、収穫できる食材の幅も広く、さらに海の幸も、山の幸も高品質で美味。2月8日(木)、9日(金)に開催される「HIROSHIMA GASTRONOMY “Horizon”」では、そんな広島食材を、広島を代表するシェフたちがスペシャルディナーに昇華。イベントでしか味わえない特別な体験を、ぜひお楽しみください。
新鮮な広島食材を味わいたいのなら、東京からだと新幹線で4時間、飛行機でだって2時間近くかかる。けれどスペシャルディナーでは、広島県が誇る食材を、広島のシェフたちが、東京・日比谷で振る舞う。少し足を延ばすだけで、絶品の広島ディナーを味わえるのだ!
2日間にわたって開催される「HIROSHIMA GASTRONOMY “Horizon”」。1日目は、広島のフレンチレストラン「NAKADO(中土)」の中土征爾さんが腕を振るう。メインディッシュは、希少で県外にはなかなか出回ることがない幻の和牛「比婆牛(ひばぎゅう)」のステークアッシェだ。
2日目は、モダンベトナミーズ「CHILAN」を営むドグエン・チランさんが登場。広島の食材と日本の魚醤やベトナムで仕入れた希少なスパイスを使い、都内の数々のレストランで培った技を組み合わせた、ベトナム料理の新境地を味わえる。
両日ともにデザートを含む6皿のコース仕立てで、広島県産のアルコールやソフトドリンクのペアリングも準備。広島のレストランの味を東京で味わえる、スペシャルなイベントだ。
広島の繁華街を縦に走る中央通り。そこから少し入ったところのビルの5階に「NAKADO」はある。オープンキッチンのカウンターをメインとした、上質なレストランだ。優しい笑顔が印象的なオーナーシェフ・中土征爾さんは、フレンチだけでなく和食、洋食、イタリアンなどでの修業経験もあるユニークな経歴の持ち主。2020年、満を持してこの場所に「NAKADO」をオープンした。
日本の食材にフレンチの技法を用いてつくる中土シェフの料理は、美味しくて、驚きがあるだけではない。「レストランは、健康になってもらう場所」と断言し、どの皿も軽やかで繊細な味わいだ。さらにコースのボリュームや塩味まで計算し、食後感の心地よさに気を配る。また食材の産地まで足を運び、生産者と直接会話することで、食材の持つ背景を知り、食べ手に伝え、料理に落とし込む。
たとえばショウサイフグのスープには、牡蠣と昆布と日本酒だけを煮出しただしが張られている。それは、ショウサイフグが牡蠣いかだ周辺などで育つことから、ショウサイフグの身からかすかに感じるミネラル感とマリアージュさせるためだ。さらに身はふんわりと蒸し、スープとともにホロホロと口の中でほどける。塩は一切使わず、牡蠣の持つ塩味と、ショウサイフグの身の旨味だけで勝負した究極の一品だ。
比婆牛を使ったステークアッシェは、赤身の美味しさと食感を生かすため、荒く手切りして塩と卵黄とマスタードを加えまとめる。強火のフライパンでさっと焼いてレアに仕上げることで、噛みしめるごとに溢れる肉の美味しさを堪能できる。周りのレモングラスソースは比婆牛の軽やかな脂と調和し、鼻から抜ける香りまでも美味しい。
2月8日(木)のディナーでは、上記の2品を含む計6品に、広島が誇る日本酒やワイン、ソフトドリンクをペアリング。この日しか食べられない充実のディナーをお楽しみください。
広島の丘の上にある閑静な住宅地。県内屈指の観光スポット・宮島も近くに眺められる場所に、モダンベトナミーズ「CHILAN」はある。ソムリエであり夫の藤井千秋さんの地元にある立派な蔵風の一軒家を改装したレストランには、L字のカウンターが建てつけられ、大きな窓からは太陽が燦々と注ぐ。自然光たっぷりの柔らかな雰囲気は、レストランながら友人の自宅に招かれたような居心地の良さだ。
ベトナム人の両親を持つシェフのドグエン・チランさんは、生まれも育ちも東京。ただし、家での食事はすべてベトナム料理だったという。そんな彼女がつくる料理は、母の味をベースに、今はなき「カフェ・トロワグロ」をはじめとする東京のビストロやフレンチレストランでの修業で培った技術をベトナム料理に応用し、モダンベトナミーズという新境地を開拓している。
チランシェフがつくるベトナム料理は、厳選した広島や瀬戸内のナチュラルな食材を使い、調理には国産の魚醤やベトナムで買い付けた調味料とスパイスなどを使用。国外に出回ることの少ない醤(ジャン)やスパイスは、香りの開きも格別で、広島の食材ともよく合うという。
店のシグニチャーである生春巻きは、母のレシピを忠実に守り、海老や米麺などの定番食材のほかに、生のもやしやミントを巻く。ディップするのは、味噌をベースに東南アジアでよく食されるタマリンド(マメ科の植物)を加えてつくられる、伝統的な甘酸っぱいソース。食べる箇所によって異なる食材と、キリッとした塩味が利いたフルーティなソースが、これまで食べてきたベトナム料理とはひと味もふた味も異なる驚きと美味しさだ。
2月9日(金)のディナーでは、広島県産キャビアや広島サーモン、比婆牛をフレッシュハーブやベトナムのスパイスと合わせた、チランシェフ特製メニューをお届け。モダンベトナミーズの新星チランシェフの料理を、ぜひ東京で味わってみてほしい。
「幻」と言われる和牛は数あれど、広島の北東部で飼育されている比婆牛は、特に市場に出回ることが少ない。「NAKADO」の中土シェフでさえ「ネットワークを駆使して、なんとか仕入れられる日がある」くらいだ。
垣内牧場では、比婆牛用仔牛を放牧で育てている。自由に野山を駆け回る姿はまるでポニーのようで、愛情たっぷりに垣内さん夫婦に育てられた比婆牛用仔牛は温厚で人懐っこい。中土シェフ曰く「ストレスが少ない環境で育った比婆牛は風味や味わいも豊かで、脂の融点が低いため脂身がサラリとしており、食べ疲れない」という。
スペシャルディナーでは、両シェフともにメイン食材として比婆牛を使用。県外ではめったに味わうことのできない比婆牛を、ぜひこの機会に!
今回のメイン食材のひとつである藤本和大さんが釣るショウサイフグは、ミネラリーな旨味があり、とても美味しいと言われている逸品だ。冬になれば脂も乗り、フグの王様であるトラフグにだって勝るとも劣らない。3日も寝かせれば、身はねっとりと濃厚な味わいに仕上がる。
フグは網で捕獲するのが一般的なところ、藤本和大さんは一匹ずつ丁寧に一本釣りしている。そんな希少なショウサイフグを調理するのは中土シェフ。広島の海を凝縮したような、濃厚なお椀をぜひ会場で食べてみてほしい。
日本三大名醸地にも数えられる広島は、うまい酒が揃っている。ただ、その特徴はひと括りにすることはできない。というのも広島は、県内であっても場所が違えば気候も違うため、とにかく味わいが多彩なのだ。
日本酒だけでなく最近はワイナリーも増えはじめ、日本の新たなワイン産地として注目が集まっている。
スペシャルディナーでは、広島でつくられる日本酒とワイン、ノンアルコールドリンクのペアリングもご用意。広島の「美味しい」がギュッと詰まった2日間を、どうぞお楽しみに。
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文:木村圭佑 写真:赤澤昂宥