香味の調和を追求した日本酒"越乃寒梅 FROM NIIGATA 2020BY"を田崎真也さんが味わう

香味の調和を追求した日本酒"越乃寒梅 FROM NIIGATA 2020BY"を田崎真也さんが味わう

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時代の変化やブームに流されることなく、理想の酒を醸す“越乃寒梅”。原料や製造法に妥協せずに酒造りに最大限の力を注ぐ蔵元が、今夏、香りと味の調和を追求した限定酒をリリースした。世界のソムリエ、田崎真也さんがその香りと味わいをテイスティング。合わせることで、口福をより増幅させる料理を提案してもらった。

限定900本、ミシュラン店のみで味わえる日本酒“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”

「間違いなく新潟を代表する銘柄のひとつであると同時に、“越乃寒梅”の味というものを完全に確立している蔵。地酒ブームを機に、一挙に全国ブランドになったのは、昔ながらの酒造りが認められたうえでの必然であり、“越乃寒梅”の味を守り続けているところに僕は魅力を感じます」
世界を知るソムリエ、田崎真也さんはそう語る。

“越乃寒梅”の蔵元、石本酒造が醸すのは、普段の暮らしのなかで、食とともに楽しむことにより明日への活力となるような酒。料理を引き立てる淡麗な味わいながら、米の旨味も堪能できる力強さを兼ね備える酒である。

そして、2022年9月、新たな試みを掲げる酒が誕生する。

限定900本のみ。
全国のミシュランガイド掲載のホテルやレストランのみで味わえる“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”だ。
30%および35%に磨いた山田錦を使用した貯蔵年数の異なる複数の純米大吟醸酒を、独自に絶妙なバランスでブレンドした。“越乃寒梅”らしいクラシカルスタイルを保ちつつも、香味の調和を追求し、非日常へと誘う1本である。

越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY
2022年9月登場。石本酒造が新たに送る“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”。

世界のソムリエ、田崎真也さんがテイスティング。

モダンなラベルのデザインから、田崎さんが抱いた第一印象はこうだ。
「日の丸を雪輪のロゴで抜いたマークではありますが、それを知らないとすると、酵母や熟成年数の異なる複数の純米大吟醸酒を合わせたことで生まれるバランスの調和を表しているようです。そのバランスのよさが正六角形というマトリックスを成立させ、丸を描くような調和した味わいであることを期待させます」

ワイングラス
この日のテイスティングは、香りや味わいなど酒の全容がつかみやすいワイングラスで。

グラスに注ぎ、香りについてのコメントをこう語る。
「果実の香りを生む吟醸酵母で醸した精米歩合30%の2020BY純米大吟醸酒からは、いわゆるリンゴや洋梨、かすかにメロンといった香りが主体。そして、ベースとなる2019BYの熟成感のある純米大吟醸酒からは、熟成による穏やかさや釜で炊き上げたご飯の香りなど米の香りが感じられます。フルーティに偏りすぎず、米由来の香りがするのがいいところですね。さらによく探っていくと、熟成によるカシューナッツのようなフレーバー、麹由来の香り、ほんのりライチのような香り、菩提樹の花のような香りも調和しています」

田崎真也さん
日本ソムリエ協会会長の田崎真也さん。1995年「第8回世界最優秀ソムリエコンクール」で、日本人として初めて優勝を果たし、国際ソムリエ協会会長を経て、現職へ。日本酒の発展にも力を注ぐ。

続いて、味わいのコメントを訊いた。
「第一印象に感じるのは非常に柔らかな甘味。新たに加わったフルーツの香りが、口に含んだ瞬間の柔らかい甘味ととてもよく調和しています。緻密ですね。ベースの酒を1年熟成させることでバランスが秀逸で、そのバランスのよさから最初に感じた甘味がだんだん優しい印象となりながら、ずっと余韻にキープされていきます。酸味はやさしいですね。“越乃寒梅”は、淡麗な新潟の酒において、実は味わいはしっかりしています。でも、バランスがいいので、強さを感じさせない。その分、余韻に長く残るんです」

「甘海老やハモなどクリーミーさをプラスして合う和洋の料理と相乗」

では、“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”はどんな料理に合うのか。
田崎さんが思う、“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”の味わいが冴える温度帯は、「上質な白ワインに適した12℃ぐらい。あるいは、ベースとなっている“越乃寒梅 純米大吟醸”は赤ワイン同様の18℃ぐらいでもふくよかさを感じられるので、意外と甘味と旨味のバランスを感じられるかもしれません。お燗なら、40℃ぐらいのぬる燗で。その場合は、猪口や平盃で味わうのがよいと思います」。

そのうえで、2種の料理を提案してくれた。
いずれも和の食材をメインとし、日本料理にも応用できる。
田崎さんは、そのポイントは「クリーミー感」だと指摘する。
「白ワインは酸味によってフレッシュ感を与え、赤ワインは苦味によって肉類などに必要に応じてスパイス効果を与えます。日本酒はというと、クリーミー感なんです。乳酸由来の香りが乳製品のような甘味と滑らかさが調和したクリーミーな印象を与えます。そのクリーミーさをプラスしておいしい料理というのがいいのです」

1品目は、石本酒造のある新潟県でもよく食べられている甘海老をメインとした“甘海老のキウイ酢ソース 豆乳のフォーム”である。
醤油で合わせるのではなく、フルーツのソースを合わせ、さらに豆乳のフォームでもクリーミー感をプラスする。
「キウイの裏ごしに、柑橘類のジュースとオリーブオイルのドレッシングをかけています。豆乳のフォームで甘海老をよりクリーミーに、そしてフルーツやエディブルフラワーで爽やかさを加えるイメージです。“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”が持っている香味の特長全体と同調させて引き立てる組み合わせです」

甘海老のキウイ酢ソース 豆乳のフォーム
田崎さんが考案した“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”と合う料理の1品目は、“甘海老のキウイ酢ソース 豆乳のフォーム”。甘海老に果物の酸味を合わせるのがポイント。

続いて2品目は“ハモとじゅん菜のスープ サフラン風味”。
「いわば、ハモのお椀のイメージです。だしと魚のアラで取ったすまし汁に、サフランで風味を付けました。華やかな香りを添えて引き立てる効果は、“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”と同様です。青々としたグリーンピースのすり流しで仕立ててもいいと思います」

ハモとじゅん菜のスープ サフラン風味
2品目は“ハモとじゅん菜のスープ サフラン風味”。ハモのお椀をイメージしたもので、1品目とともに和の食材を用いており、和食への応用がたやすいのも魅力だ。

「ヒントとしては、海老、イカ、白身魚、ほたてといった食材を生で刺身として提供する場合も、わさび醤油以外のたれを考えてみるとよいと思います。たとえば柑橘系のジュースとだしを割って塩を加える、フルーツジュースをつかったドレッシングをつけだれとする。あるいは煎り酒を変形させたものなど。こういった食べ方が吟醸酒に合います。まして、“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”は、一般的な35%まで米を磨いたお酒より、米を感じますので、爽やかに仕上げるよりはふくよかな印象に仕上げたほうがよいかと思いました」

田崎さんによれば、ほのかにクリーミーさを感じる料理としては、ほかに、豆腐を使ったものや冬場ならかぶら蒸し、ゆり根の裏ごしを少し添えるなどもよいという。
わさび醤油や酢橘のみ、といったお決まりの食べ方ではなく、新しい試みを掲げる酒は、繊細さが冴える食べ方がより口福を増幅できそうだ。

香りと味の調和を追求した限定酒

“越乃寒梅 純米大吟醸 FROM NIIGATA 2020BY”
素材や技を引き立てながらも、たしかな存在感を放つ。30%および35%に磨いた山田錦を使用した熟成年数の異なる複数の純米大吟醸酒を、独自に絶妙なバランスでブレンド。米の旨味をとらえつつ、香りと味のバランスを追求し、非日常的なシーンでも満足できる味わいに。限定900本。2022年9月より、全国のミシュランガイド掲載の一部ホテルやレストラン限定で発売予定。メニューリストで見かけたら、ぜひお試しを!

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話してくれた人

田崎 真也(たさき・しんや)

田崎 真也(たさき・しんや)

1958年、東京生まれ。19歳でソムリエを志し、渡仏。1995年、第8回世界最優秀ソムリエコンクールで日本人として初の優勝を果たす。現在、田崎真也ワインクラブを主宰。沖縄サミットや大阪で開催されたG20の晩餐会などで料理とのペアリングを担当するなど、数々の世界的な舞台で活躍を続けている。

文:長谷川ミヤ 写真:オカダタカオ

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