ジャンルを超えた、本格的なうまさ!絶好調のキリン「本麒麟」が、今年リニューアルし、さらにうまさに磨きをかけている。そのビール類好きを惹きつけてやまない、磨き上げられたおいしさの秘密とは?ミシュランで14年連続二つ星を獲得中のフランス料理界を代表する名シェフ「ル・マンジュ・トゥー」谷昇さんが本麒麟の魅力を語ってくれた。
──早速ですが、「本麒麟」について、谷シェフの率直な感想をお聞かせください。
谷 初めて「本麒麟」を飲んだとき、ヨーロッパのビールを思いましたね。特に僕、フランス・アルザス地方のレストランで働いてましたでしょ。ドイツがわりと近いので、ビールが身近にあったんです。
向こうのブラッスリー(註:brasserie 飲食店の一種/語源はビール製造所)やビストロで飲むビールは、キレやのどごしだけでなく、豊かな味わいを楽しむ飲み物です。「本麒麟」はそれに通じる“味わうタイプ”だな、と感じました。
──具体的には、どのような味わいを感じられたのでしょう?
谷 まず、味はしっかりとコクのあるラガータイプ。でも、キリンラガーほど重くないです。そして、香りが僕にとっては凄く印象的。『フルーティーだな』と感じました。
──フルーティーな香りですか!正直、「本麒麟」についての感想で、初めて聞きました。
谷 フルーティーと言っても、何の果物に似ているとか、そういう話じゃないですよ。
これは僕の個人的な感覚かもしれませんが、ちゃんとつくられたビール類には、麦の中に潜んでいる、ある種のフルーティーさが感じられると思っています。
ただ、ここが肝心なのだけれど、「本麒麟」はバランスこそが素晴らしい。味、香り、のどごし、キレ……。何かが突出するのではなく、表面的な個性を声高に主張することもない。
たとえば料理と一緒に楽しむなら、すべてを受け入れてくれるような懐の深さを感じます。一言で『凄いね!』。素直にそう思いました。
──谷シェフが「本麒麟」に感じられた、「凄いね!」というご感想。もう少し聞かせてください。
谷 この味わい、バランスは、一朝一夕でできるものではないという意味です。僕もプロの料理人で超現場の人間ですから、そのぐらいはわかるつもりです。
「本麒麟」をつくり上げるために、醸造家の方々が、現場でどれだけ仕事を積み重ねているか……。ときに己を消し去ってでも、細かなところまで手間を惜しまず、仕事を続けているはずです。
特に、マスに向けたビール類という身近な商品であれば、どれだけ多くの人たちに受け入れられるかが大切ですよね。そのためには、どれだけ仕込みをするか?これに尽きます。そんな醸造家の方々の努力、想いが見て取れる。だから『凄いね』なんです。
──今のお話。その通りで、「本麒麟」のおいしさは、手間と時間が大きな鍵を握っています。生産効率を落としてでも低温熟成期間を長くしていることに加えて、実はキリンが新ジャンルに向き合ってから「本麒麟」が誕生するまで10年以上。さらに遡れば、100年を超すキリンのラガービール造りの知見や技術が「本麒麟」に注がれているとのことです。
谷 僕も、自分のスペシャリテ(名物料理)をつくるのに10年かかった料理が2皿あるんです。ですから、凄くよくわかります。
要は、普通に考えれば、お客様に出せないレベルではないんです。この料理、このレベルなら出せるよね?でも、ダメだよね。最後は、プライドだと思います。
僕が感じた、「本麒麟」の向こう側にある醸造家の想いというのは、いわばプロフェッショナルのプライド。詰まるところ、そこしかないかなぁ。
──谷シェフには今回、「本麒麟」に合わせた料理をつくっていただきました。何と「本麒麟」をソースにした、本格的なフランス料理。最後に、この料理について一言お願いします。
谷 僕たち料理人にとって、1stインプレッションって凄く大事なんです。素材から感じた味や香りから、インスピレーションがいろいろと湧いてくる。
「本麒麟」を初めて飲んだときに感じた、コクのある味とフルーティーな香り。『これなら、カルボナード(ビール煮)、いけるよね』そう直感しました。
本場のフランス・フランドル地方では、塊肉をベルギービールで煮込むのですが、しっかりした味わいのあるビールでなければおいしくなりません。
「本麒麟」ならいける。ステーキなどの肉料理とビール類が合うという、一般的なペアリング以上の、マリアージュを楽しんでいただけると思いますよ。
──素晴らしいお話をいただきました。本日は、どうもありがとうございました。
オリジナルは肉をビール類で煮込むところ(カルボナード=ビール煮)、谷流はビール煮のおいしさをソースに凝縮し、ローストビーフ仕立てにしている(上写真)。
さらに今回は、家庭でつくりやすいようにアレンジ。「本麒麟」とカラメリゼ(キャラメル化)したグラニュー糖を合わせて軽く煮込み、ローストビーフにかけて仕上げる。時間はかかるが、「本麒麟」との抜群のマリアージュをぜひ、体験してほしい。
和牛もも肉 | 1kg(中心部のシンシンがベスト) |
---|---|
塩 | 10g(肉の重量の1%) |
黒胡椒 | 適量(ホール) |
A 本麒麟のカルボナード風味 | |
・ 「本麒麟」 | 1本(350ml) |
・ グラニュー糖 | 10g |
・ 塩 | 少々 |
和牛もも肉は脂、筋を丁寧に取り除く。塩をふったらラップフィルムで巻き、冷蔵庫で一晩(約12時間)おく。
1は、焼く1時間前に冷蔵庫から出し、室温に戻しておく。
フライパン(できれば鋳鉄製)を弱火~中火で温め、最初に2の表面に焼き色をつけたら、ゆっくりと丁寧に焼いていく。(ちなみに、谷シェフはオーブンを使わず、約1時間かけて焼く)
別のフライパンにAのグラニュー糖を入れて弱火~中火にかける。薄茶色になったら、本麒麟を加え、香りと味が飛ばないくらいに煮詰め、塩少々で味を調える。
3のフライパンの脂をペーパーで丁寧に拭い、4をかけて牛肉全体に風味をまとわせる。潰した胡椒をふりかけ、火をとめてゆっくりと肉を休ませて、肉汁を落ち着かせる。
5を好みの厚さに切り、ローストポテトや焼いた小玉ねぎ、焼いたにんにくなど(いずれも分量外)を添える。
キリンビールお客様相談室
フリーダイヤル:0120‐111‐560
1952年、東京都出身。アンドレ・パッション氏率いる六本木「イル・ド・フランス」からフランス料理の世界へ入る。1976年、1989年と2度フランスへ渡り、アルザス地方の三つ星レストラン「クロコディル」、二つ星レストラン「シリンガー」などで腕を磨く。帰国後、六本木「オーシザーブル」シェフなどを経て、1994年「ル・マンジュ・トゥー」をオープン。2012年、辻静雄食文化賞専門技術者賞を受賞。『ミシュランガイド東京』では、創刊年より14年連続で二つ星を獲得中。
ル・マンジュ・トゥー
【住所】東京都新宿区納戸町22
【電話番号】03‐3268‐5911
写真:牧田健太郎