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GLAYのTERUがつくる「のり弁」|dancyu編集長・植野が令和元年に感動した五皿⑤

GLAYのTERUがつくる「のり弁」|dancyu編集長・植野が令和元年に感動した五皿⑤

日頃、日本各地でさまざまな料理を食べ回っているdancyu編集長・植野が「令和元年に感動した五皿」を紹介します。

シンプルながら緻密な構造の三段式。本当に旨い!

TERUさんが「自分なりの結論」という三段のり弁。

「俺がつくるのり弁は旨いですよ!」と、酒を飲みながらTERUさんは言った。それが、2019年5月号の「のり弁」特集のきっかけだった。実際につくってもらうと……本当に旨かった!

海苔とご飯が大好きというTERUさんがつくるのり弁は、実にシンプル。材料はご飯と海苔、醤油、梅干し、本体が透明な密封容器。容器にご飯を入れ、平らにならし、海苔を敷き、醤油をかける。これを三回繰り返して三段にする。これだけ。

丁寧に海苔を敷き詰める。

ただし、海苔は約4cm角に切り、端が少し重なるように敷き詰めていく。ベテラン職人が屋根に瓦を敷き詰めていくような丁寧な作業だ。そして「そんなに!」と思うくらい醤油は多め。三段をつくり終えると端に梅干しを置き、蓋を締めて密封する。

「これを4時間程置いてから食べるのがベストです」

なぜか。4時間後に食べてみてわかった。密封容器で蒸らすことで、ご飯と海苔とたっぷりの醤油が馴染む。多いかと思った醤油もちょうどよい加減になっている。馴染みつつも香りと味と食感が程よくグラデーションになっている。この馴染み具合を見るために透明な容器でないといけなかったのだ。

味わいの要は密閉容器。

さらに。箸を入れるとご飯と海苔がすっと持ち上がる。

「のり弁って一面に海苔を敷き詰めたものが多いですよね。でもそれだと食べるときに海苔がすべてめくれてしまったりします。それが嫌で、小さく切って敷き詰めるようにしたんです」

ストレスフリーなのり弁!

「そして、醤油を塗ったり、ご飯の熱が入ると海苔が縮んで隙間ができ、ご飯が見えてしまう。それも嫌なんです」

それで端が少し重ねて敷き詰める“屋根瓦”方式を編み出しというわけだ。見た目も美しい職人技だ。

そして、シンプルゆえに単調になりがちな味わいを、梅干しがリフレッシュしてくれる。緻密な味の構造が出来上がっていたのだ。

きっかけは酒飲み話であったが、中身は本物であった。

もう一度言おう。TERUさんののり弁は本当に旨かった!

丁寧にご飯を入れるTERUさん。

文:植野広生 写真:今津聡子