尾身奈美枝さんの“フードロサない”アフターレシピ
"アジの干物"をもてあましたら、ひんやりさっぱり"冷や汁"に!

"アジの干物"をもてあましたら、ひんやりさっぱり"冷や汁"に!

料理家・フードコーディネーターの尾身奈美枝さんが毎回、余った食材をおいしく食べきるレシピを提案します。今回のお題は、1枚だけ余った“アジの干物”。蒸し暑い日におすすめのさっぱりレシピをどうぞ!

“アジの干物”はもう余らせない!

旅のお土産に買ってきたり、誰かにいただいたり。そんな“アジの干物”を香ばしく焼いて、炊き立ての白いご飯と共に味わう朝は、幸せそのもの。でも、魚焼きグリルを掃除する面倒くささが先立って、冷凍庫で長~いこと保存されてしまうことも。心当たり、ありませんか?

「ありますよ~!しかも中途半端に1枚だけ残っていたりすると、家族みんなで食べるってわけにもいかないでしょ。なので、今回はアジの干物1枚だけ使って、みんなでおいしく食べられるレシピです。掃除したくないので、魚焼きグリルも使いません!」

そんな力強い言葉と共に、キッチンに立った尾身さん。つくるのは、宮崎県民のソウルフード!

「蒸し暑い日に食べたい“冷や汁”です。宮崎では、夏の畑仕事が忙しいときでも手軽につくれて、食欲がなくてもしっかり栄養補給できるようにと、伝えられてきた料理なんですよね。野菜もしっかり食べられますよ!」

尾身さん
眠っていた“アジの干物”をおいしく食べきりましょう!

蒸し暑い日にサラサラかきこみたい!

本来はタイやアジを塩焼きにしたものを使うが、かわりに今回使うのが干物。しかもフライパンで蒸し焼きにするのは、尾身さん流の工夫だ。

「魚焼きグリルの掃除が面倒だというのもあるんですが、蒸し焼きにするほうが圧倒的においしい!身がふっくらして、やさしい旨みが引き出されるんです。フライパンにクッキングシートを敷いて干物を入れたら、少量の水を入れて蓋をして加熱するだけです」

実際にやり方を見せてもらったところ、確かに簡単。クッキングシートを使うので、フライパンがほとんど汚れないのもありがたい。

こうして、できあがった冷や汁は、濃厚な味わいなのにさっぱり!干物の旨味をしっかり感じさせながら、焼き味噌とすりごまの香ばしさがたまらない。麦飯にかければ、サラサラと軽やかで、あっという間に完食してしまった。

「麦飯のかわりに、素麺にかけてもおいしいですよ。具材を加えたら、冷蔵庫でしっかり冷やすのもポイント。暑さをやわらげてくれる味です!」

“冷や汁”のつくり方

冷や汁

材料材料 (3~4人分)

アジの干物1枚(正味80g)
味噌大さじ4
だし600ml(※)
白すりごま大さじ3
★ 具材
・ きゅうり1/2本(薄い小口切り)
・ 大葉10枚(太めのせん切り)
・ みょうが3個(小口切り)
・ たまねぎ50g(みじん切り)
・ 木綿豆腐100g(重石をして水気を切っておく)
麦飯適量

※だしは鍋に800mlの湯を沸騰させて火を止め、鰹節30gを沈めて5分ほど置き、漉したもの。だしパックで手軽にとったものでもOK。

1アジの干物を蒸し焼きにする

クッキングシート(30×30cm)の四隅をねじって浅い箱をつくってフライパン(直径26cm)に敷き、アジの干物を置く。シートの箱の外側に水150ml(分量外)を注ぎ、中火にかける。沸騰したら蓋をして弱火に落とし、7~8分、水分がなくなるまで蒸し焼きにする。

アジの干物を蒸し焼きにする

2焼き味噌をつくる

アジを蒸し焼きにしている間、アルミホイルに味噌をのばして、魚焼きグリルでこんがり表面を焼く。

焼き味噌をつくる

3アジの身をほぐす

蒸し焼きにしたアジの身をほぐして、ボウルに入れる。

アジの身をほぐす
アジの身をほぐす

4アジをつぶして焼きみそを混ぜる

アジのボウルに、分量のだしから大さじ2~3を加えて、魚の身の繊維をほぐすようスプーンの背でつぶす。細かくほぐれたら焼き味噌を加えて混ぜる。途中で、混ぜやすいようにだしを適量足す。

アジをつぶして焼きみそを混ぜる
アジをつぶして焼きみそを混ぜる
アジをつぶして焼きみそを混ぜる

5だしを加えてのばす

残りのだしをすべて加えてのばし、よく混ぜる。

野菜を加える

6野菜を加える

具材のうち、野菜をすべて入れ、混ぜ合わせる。白すりごまも加える。

豆腐を加える
豆腐を加える

7豆腐を加える

豆腐を小さめのひと口大にちぎって加え、冷蔵庫で1時間ほど冷やす。麦ご飯にかけて食べる。

完成

教える人

尾身奈美枝 料理研究家・フードコーディネーター

尾身奈美枝 料理家・フードコーディネーター

料理家・フードコーディネーターとして、テレビ番組を中心に、新聞・雑誌など様々なメディアに出演。料理番組の金字塔『料理の鉄人』の裏方を務め、「フードコーディネーター」 という職種を世に広め、定着させた先駆け的存在でもある。
「きょうの料理」 (NHK)「あさイチ」(NHK) などの番組に多数出演。“エコ”をテーマとした新しいレシピ提案を発信し続けている。

文:大沼聡子 撮影:海老原俊之

大沼 聡子

大沼 聡子 (編集者・ライター)

家庭科教師だった母親の影響で、小学生の頃から料理雑誌を愛読。現在はレシピ本の企画・編集のほか、食まわりの記事を雑誌・ウェブ等で執筆している。趣味は世界各国の料理をつくること、食べ歩くこと。