dancyu1月号「東京駅にしかない美味厳選しました！」絶賛発売中！

2023.12.06
- 連載 : dancyu本誌から

東京駅に来たら、何を食べますか？日本を代表するこの駅には、新しい店が次々と誕生して、ひしめき合う中、カウンターやガード下で気楽に呑んだり、三世代が通う老舗や正統派フレンチで食事など、ここでしか味わえない料理や楽しさがあります。弁当も手土産も、日本一のものが揃うんです。さすが東京駅！品格のある駅はおいしいぞ。

食べ鉄　呑み鉄

dancyu2024年1月号: 子供の頃は“読み鉄”でした。分厚い時刻表を眺めながら、空想の鉄道旅を組み立ててみたり、後ろの方に載っている車両編成や座席表を見て、どの席に座ろうか、この列車のA寝台はいいな、食堂車で何を食べようか、などと妄想していたのでした。でも、時々父親が東京に連れて行ってくれるときに実際に電車に乗れるのがやはり嬉しかった。当時は特急に食堂車がついていて、宇都宮から東京まで2時間弱なのに、父はいつもすぐに食堂車に向かい酒を飲んでいました。僕もアイスなどを頼んでもらえるので楽しみでした。
大人になったときには食堂車付きの特急はなくなり、東北新幹線が開通して、お楽しみの時間がいつしか移動の時間に変わりました。しかし、その分、駅での楽しみが増えたような気がします。どこかへ出かけるとき、駅にちょっと早く着いたらコーヒーを飲みながら、あるいは発車案内板に出てくる列車名を見ながら架空の旅を考えたり、どんな駅弁を買おうか迷ったり。遠方から帰ってきて、でもまだ夕方だし、と駅の中にある居酒屋にふらりと入り、一杯呑みながら旅を振り返ったり。
乗る前から、あるいは乗った後に旅を感じられる駅は“食べ鉄”“呑み鉄”のプラットフォーム。かつて時刻表を読んで夢を抱いたように、今は駅で呑み食いしながら妄想を膨らませているのです。駅は美味しくて、楽しい！

dancyu編集長植野広生