dancyu本誌から
「金葉庭」のちゃんぽん|編集部員の校了めし①

「金葉庭」のちゃんぽん|編集部員の校了めし①

dancyu1月号「いま、東京で行きたいのはこんな店です。」特集に掲載した“編集部員の校了めし”。誌面では、長時間の作業に追われる雑誌づくりの校了期間中に、どうしても食べたくなるご飯を6人の編集部員が紹介しました。dancyuWEBでは、それぞれのお店について詳しくご紹介します!

ちゃんぽんを求めて自然と足が向く

ちゃんぽん
名物のちゃんぽん。麺は長崎から直送し、スープは鶏ガラをベースに豚骨も混ぜている。具は豚肉、海老、もやし、かまぼこなど12種類。じわりとしみ渡るスープが、これからの季節にはたまらない。1,000円。

赤坂見附駅から5分ほど、日枝神社の近くにある「金葉庭」は、校了のときに重宝するチャージスポットだ。
夜は中華料理屋だが、昼のメニューはちゃんぽんと皿うどんだけ。疲弊した体をちゃんぽんで癒すために、校了が訪れるたびに店へ自然と足が向く。

店主の弥永(やなが)さんは九州・長崎の出身。ホテルの中華料理屋で修業時代を過ごしたが、ちゃんぽんや皿うどんの店でも働いていた経験がある。
最初に店を出したのは、1994年。場所は新宿・歌舞伎町のさくら通りで、繁華街のど真ん中。営業時間は17時~翌3時と遅く、店には夜の街で働く人であふれていたそう。赤坂に移転したのを機に、ランチはちゃんぽんと皿うどんだけ、というスタイルに落ち着いた。
お昼にちゃんぽんと皿うどんを出すのは「ほかのお店では食べられない、自分の故郷のものを」という思いから。毎朝店に来てから鶏ガラと豚骨を煮込み、仕込んだ分は使い切る。「特別なことはしていない」と言うが、丁寧な仕事が何度でも食べたくなる味をつくっている。だから、赤坂に移った今でも、多くのサラリーマンに愛されている。

皿うどん
皿うどんも人気の一品。具はちゃんぽんと変わらず12種。塩気のある麺に少し甘めの餡がのっている。お酢を加えると酸味で全体が引き締められるので、常連客に人気。1,000円。

初めて「金葉庭」に訪れたのは、もう十年以上も前になる。
店がまだ新宿にあったころから通っていた父に連れられて訪れた。それからしばらく間が空いたが、dancyu編集部で働くようになり、会社がたまたま近くだったことから通うようになった。僕がいつも頼むのはちゃんぽん。つるっ、もちっとした麺と濃厚なスープがよくからみ、どんどん食べ進む。気づけばいつも、スープまで飲み干している。

夜は素朴な中華料理屋だ。赤坂という土地を考えたら破格の値段で食事ができる。オリジナルの“エビカレー風味”は自家製スパイスオイルと混ぜた海老が酒を呼ぶ逸品。ほかにも、卵をたっぷり使ったカニ玉や、餃子、麻婆豆腐などの定番料理もあり、もちろん夜もちゃんぽんや皿うどんを食べられる。体に優しい締めの一皿にぜひ食べてみてください。

カニ玉
卵3個分がどんとのるカニ玉1,150円。甘酸っぱいタレでつまみになる。
エビカレー風味
エビカレー風味1,150円は夜に人気の一皿。自家製のスパイスオイルはしっかりと辛味が効きつつも、どこか懐かしい味わい。ぷりっとした海老とネギがよく合う。
店主の弥永夫妻
店主の弥永夫妻。厨房は弥永さん一人で切り盛りするため、お昼は2品のみ。店に入ると聞こえる女将の「はーい、いらっしゃーい」の声だけで気分が弾む。

店舗情報店舗情報

金葉庭
  • 【住所】東京都港区赤坂3‐7‐9
  • 【電話番号】03‐5570‐2626
  • 【営業時間】11:30~14:00(売り切れ仕舞い)/18:00~20:30(L.O.)
  • 【定休日】土曜 日曜 祝日
  • 【アクセス】東京メトロ「赤坂見附駅」より4分

撮影:土居麻紀子 文:折敷出 陸