スペシャリテとまかない~素敵なレストランの美味しい話~
「レストラン ラフィナージュ」のまかない"油淋鶏"|スペシャリテとまかない⑤後編

「レストラン ラフィナージュ」のまかない"油淋鶏"|スペシャリテとまかない⑤後編

料理人やスタッフの元気の源まかない。東京・銀座にあるフレンチレストラン「レストラン ラフィナージ」のまかないは、スタッフがシェフになるまでに学ぶべきポイントが隠されていました。まかないの調理場を覗き見します。

本日のまかないは“油淋鶏”

高良康之シェフ

高良康之シェフが、店のまかないについて話す。

油淋鶏

「作っているのは若手の二人。和洋中、メニューはなんでもOKです。作ってみたい料理があれば、それ用に材料の仕入れをしてもいいと話してあります。自由度は高いと思いますよ。ただし、まかないは、“人の時間を使わせてもらって”作っているものです。普段の仕事を滞らせないように作らなきゃならないし、時間にきちんと間に合うように作らなければ、みんなの休憩時間も減ってしまう。内容も大切ですが、“みんなの時間を考える”こともとても大切です」
なるほど、確かにそうである。話はさらに続く。
「そして、まかないであっても相手に対する“気遣い”ができなきゃいけない。味噌汁が濃過ぎたら、さっと席を立ってお湯を足せるか。薄ければ味噌を足せるか。そのままにして、ちょっと濃いけどまあいいか、ということはよくない。まかないといえども、食べる相手がいるわけです。“人にお出しする”ということをどう考えているか。こうした普段からの姿勢が、そのまま営業中のお客様への気遣いにつながるんです」

当たり前なのだろうが、なかなか厳しい話である。しかし、若手の二人の逞しいこと!

集合写真
中央がオーナーシェフの高良康之さん。両脇がホールスタッフの長田典子さん(左)と矢口衛さん(右)。両端がスタッフの佐竹洋幸さん(左)と木村裕太さん(右)。

シェフの要求を察して仕事を滞らせることなく、この日も手際良くまかないを仕上げた。メニューは油淋鶏だ。

お裾分けしていただき、口にしたら、中華料理店顔負けの味である。中心となってまかないを作っているのは佐竹洋幸さん。朝から下味をつけた鶏肉に、片栗粉をつける前に卵を絡ませるのがカリッと仕上げるポイントだと話してくれた。他のスタッフによると、佐竹さんは特に中華が得意で、麻婆豆腐などもみんなに人気なのだそう。サラマンダーの横で大根を乾燥させて切り干し大根を作ったり、漬物を作ったりもしている。

もう一人のまかない料理人、木村裕太さんは、今度親子丼を作ってみたいといい、名店と言われる親子丼の味はどんなものかと、人形町の「玉ひで」に食べに行ったそうだ。

この日のまかないを食べながらシェフに、「どうだったか」と玉ひでの感想を聞かれ、「並びました。一番高いのを食べてきました」とにこやかに話していた。まかないタイムは笑いに溢れた楽しいひと時だ。

実は、ラフィナージュのまかないはランチ営業前にもある。サンドイッチやパスタなど、さっと食べられるものを作っているという。一日二回のまかないで、二人はかなり鍛えられることだろう。将来が楽しみになるほどだ。

油淋鶏のつくり方

油淋鶏のつくり方
鶏もも肉5枚に切り込みを入れて、塩、胡椒、砂糖、酒を入れた液に数時間浸し、下味をつける。
油淋鶏のつくり方
全卵をといて、下味をつけた肉に絡める。この一手間で片栗粉がつきやすくなり、油で揚げたときにカリッと仕上がる。
油淋鶏のつくり方
片栗粉を全体にまぶす。
油淋鶏のつくり方
180℃の油で揚げる。
油淋鶏のつくり方
美味しい狐色になるまで5分ほど揚げる。
油淋鶏のつくり方
揚がったものを、ネギ、生姜、醤油、米酢、砂糖、ごま油を混ぜたタレにさっと漬ける。
油淋鶏のつくり方
食べやすい大きさにカットする。
油淋鶏
お皿に盛りつけ、彩の葉野菜と赤パプリカを添えて完成!

文:浅妻千映子 写真:青谷慶

店舗情報店舗情報

レストラン ラフィナージュ
  • 【住所】東京都中央区銀座5-9-16 GINZA-A5 2階
  • 【電話番号】03-6274-6541
  • 【営業時間】12:00~13:30(L.O.) 18:00~20:00(L.O.)
  • 【定休日】月曜 第3火曜
  • 【アクセス】東京メトロ「銀座駅」より3分
浅妻 千映子

浅妻 千映子 (食ライター)

大学卒業後、3年間のゼネコン勤務ののち、ライターに。雑誌やweb等で活躍。料理研究家としてレシピ開発も。著書に『江戸前握り』『パティシエ世界一』(光文社新書)など、レシピ本に『浅妻千映子キッチン』(ぴあ)、『ほめられレシピ』(主婦と生活社)がある。『東京最高のレストラン』(ぴあ)の審査員。日本ソムリエ協会認定ワインエキスパート。