こんな食べ方はじめて!三宅島をおいしくいただく "東京宝島プロジェクト"(前編)

こんな食べ方はじめて!三宅島をおいしくいただく "東京宝島プロジェクト"(前編)

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東京湾を南へ南へ。海の先にもうひとつの東京がある。伊豆諸島と小笠原諸島だ。そこは食材の宝庫。その魅力を磨き上げるプロジェクトが始まった。名づけて「東京宝島プロジェクト」。気鋭の料理人が食材を足で探し、オリジナルの料理をつくる。まずは、三宅島に向かった料理人から紹介しよう。

黒潮がもたらす海の幸と多種多様な島野菜

農業に訪れる気鋭の料理人。
畑から収穫したコンテナいっぱいの野菜を持つ佐藤幹さん(左)と荻根沢勝利さん(右)。中央に立つのは農業を営む大年健士さん。

2019年1月下旬、気鋭の料理人が三宅島に足を踏み入れた。和食店「食幹」などを率いる、株式会社ディスカバリー代表取締役の佐藤幹さんと、同社による新しいスタイルの鮨店「KAIDO 海堂 六本木」料理長、荻根沢勝利さんだ。ふたりとも東京の離島を訪れるのは初めて。期待に胸を膨らませながら島での食材探しが始まった。

三宅島は東京の山手線の内側とほぼ同じ面積。そこには周囲を流れる暖流・黒潮がもたらす海の恵みがあり、火山島ならではの土壌が滋味あふれる野菜を育ててくれる。

島には、米麹の麦掛けという手法で造る麦焼酎「雄山一」がある。これを手がける三宅島酒造は、2000年の噴火によって失われた酒造りの施設を帰島後に再建。三宅島ならではの焼酎造りに一から取り組んだという。火山の島に暮らす人々は多かれ少なかれ、ときに荒ぶる自然に翻弄され、そして困難を乗り越えてきた。

畑で食材を選ぶ料理人たち。
大年さんの畑で食材を選びながら採れたての野菜を味わう。
その場で野菜を口にする料理人たち。
その場で野菜を口にする佐藤さんと荻根沢さん。

佐藤さんと荻根沢さんがまず訪れたのは、三宅島農業振興会の会長を務める大年健士さんの畑。「温暖化が進めばこの島でバナナも育つかも」と笑う大年さんは、実験的な作物も含め多品種の野菜や果物を育てている。島内でも地域により土壌は異なるというが、大年さんの畑は水はけのいい火山灰土壌で甘い野菜や果物が育つ。採ったばかりの葱をかじった佐藤さんは、「あ、すごく軟らかくて甘い」と思わず声を上げた。

三宅島酒造で、酒造りの説明をする社長の長谷川悦朗さんの話を聞く佐藤さん。
三宅島は雄山を中心とする火山島。その噴火で一旦途切れた焼酎造りの伝統が復活。
大年さんの畑には珍しい野菜が多い。赤紫の野菜はすみれ星という小松菜の一種。
島唐辛子も三宅島の特産物。これを漬け込んだ島ならではのピリっと辛い醤油も「お刺身に合いますね」と佐藤さん。

海の幸も豊富な、三宅島。実は、マグロも獲れる

三宅島の漁業の未来を支える希望の星だ。
金目鯛漁を得意とする西田圭志さん(左)とマグロ漁師の池田大純さん(右)。
三宅島の漁業の未来を担う希望の星だ。
三宅島の漁業の未来を担う希望の星だ。

島の南西部にある阿古漁港に向かった料理人は、主に金目鯛を狙う西田圭志さん、そしてマグロ漁師の池田大純さんに出会う。ふたりとも若い。話を聞くと、西田さんは漁師になりたいという一念で、大学卒業後、縁もゆかりもない三宅島に移住し、ベテラン漁師に弟子入りしたという。「初めてカツオの群れを見たときの鮮烈さといったら……」。いまは独立して自分の船を操る西田さんは楽しそうに漁師になった頃の興奮を語る。

一方、漁師の家に育った池田さんは、身が傷まず鮮度を保てるはえ縄でマグロを獲る。はえ縄は、研究熱心な父親が10年ほど前から始めた漁法で、三宅島のマグロ漁では初めてのことだった。エサは活サバ。昨年は、親子で三宅島レコードとなる425kgの大物を引き上げたと言い、「味はブランドもののマグロに引けをとらない」と胸を張る。

スペシャルなふたりを先生に料理講習会がスタート。

バラエティーの豊かな三宅島の食材。
佐藤さんたちが集めた三宅島の食材。バラエティーの豊かさに驚く。

三宅島を訪れたふたりの料理人にはミッションがあった。島の食材の魅力を発信することだ。2018年から東京都は、東京の島々がもつ素晴らしい景観や特産品、文化などの地域資源を磨き上げ、ブランド化を進める「東京宝島事業」を推進している。佐藤さんと荻根沢さんは、この事業を料理の側面からサポートする。

料理が完成するたび、わあっと盛り上がった講習会会場。
料理が完成するたび、わあっと盛り上がった講習会会場。

島の公共施設に赴いたふたりを待っていたのは、食材の生産者と民宿や飲食店の経営者たち。料理の講習会が始まる。

佐藤さん、荻根沢さんが披露したのは金目鯛と明日葉の土鍋ご飯とマグロと島野菜のしゃぶしゃぶ。「鯛めしは、一般に用いられる真鯛よりも金目鯛の方が、脂が乗っていておいしいですよね」と佐藤さん。これに添える明日葉は素揚げにした。「明日葉はよく天ぷらにしますが、きれいな緑が衣で隠れてしまう。素揚げにすれば鮮やかな明日葉の色も楽しめます」。ほんのりとした野菜の苦みが鯛めしの味わいに奥深さをもたらす。絶妙な組み合わせだ。

素揚げした明日葉などを添えた金目鯛の土鍋ご飯。
素揚げした明日葉などを添えた金目鯛の土鍋ご飯。無塩バターと一緒に味わうおいしさの詰まった一品。

マグロは、昆布出汁にくぐらせしゃぶしゃぶにするという贅沢な食べ方を提案。同じ出汁で軽くゆでた明日葉などの島野菜を巻き、ポン酢やごまダレを付けていただく。

参加者は「こんな食べ方初めて」と目を輝かせながら箸が止まらない様子。新鮮な魚介類や野菜に恵まれながら、「いつも同じ様な料理になってしまう」ことが島外からのお客さんを迎える島民の悩みだった。そう、食材がさらに輝きを増す料理を伝え、島の財産にしてもらうことも彼らの大切な役割である。

マグロと島野菜のしゃぶしゃぶ。
マグロと島野菜のしゃぶしゃぶ。当日は、明日葉のほか白菜、長葱、茎ブロッコリーなどを用いた。「旬の島野菜を使ってください」と佐藤さん。
佐藤さんが一工夫加えた刺し盛り。
佐藤さんが一工夫加えた刺し盛り。島野菜やハバノリをごま油でナムル風に和えたツマが“実用的”だ。

六本木で三宅島の金目鯛を2種類の棒寿司に

島から戻ったふたり、次は大都会の住民に島の味を届ける。2019年3月14日〜20日まで、東京・六本木の「KAIDO」で、三宅島の食材を使った鮨を提供する。コース料理の一品として出されるのは、三宅島を訪れる前から荻根沢さんがイメージしていたという棒鮨。肉厚の金目鯛を使い、シャリには大葉、ユズ、白ごまと一緒に、明日葉の素揚げを混ぜ込んだ。シャリは鮨酢ではなく赤酢を使う。赤や緑、黄の色彩がのぞく華やかなお鮨だ。

実は荻根沢さん、無塩バターに明日葉の素揚げを混ぜ込んだ「明日葉ター(あしたばたー)」なる洒落が効いた素材も考案。日によっては、棒鮨の金目鯛を炙り、その上にこのバターを載せた一品を提供するかもしれないとのこと。「金目鯛は炙るとさらに脂が出てきておいしいんですよ」と荻根沢さん。どちらの棒鮨が出てくるのか、その日の出会いをお楽しみに。

「KAIDO」で期間限定で提供される「金目鯛棒鮨 三宅島とともに」。
「KAIDO」で期間限定で提供される「金目鯛棒鮨 三宅島とともに」。赤酢のシャリに素揚げの明日葉などを合わせた鮮やかな一品。
「金目鯛棒鮨」は、魚を炙り「明日葉ター」を載せた形で提供する場合も。脂の旨味が引き出された金目鯛が、さらにバターの旨味で包み込まれる。
「金目鯛棒鮨」は、魚を炙り「明日葉ター」を載せた形で提供する場合も。脂の旨味が引き出された金目鯛が、さらにバターの旨味で包み込まれる。

「KAIDO」期間限定コース

概要
シャリに三宅島の明日葉の素揚げを混ぜ込んだ金目鯛の棒鮨をコース料理の一品として提供。
開催日時
2019年3月14日(木)~20日(水)
場所
KAIDO 海堂 六本木
東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ1FGoogleMap
コース価格
15,000円(税別・サービス料なし)

また、東京にある11の島々の魅力を体感できるイベントを開催します。都心にいながら、島しょ地域の魅力を見て、聴いて、味わって、感じることができるプログラムです。ぜひ、この機会にみなさんにとっての「東京宝島」を見つけにご来場ください。

イベント情報

“東京宝島ミュージアム”~あなたの知らない東京が見つかる~

概要
東京の島の魅力を体感できるイベントです。島レモンや明日葉を使ったスイーツも販売!詳しくはこちら
開催日時
2019年3月22日(金)~24日(日)
場所
東京ミッドタウン アトリウム
東京都港区赤坂9-7-1GoogleMap

お問い合わせ情報お問い合わせ情報

東京都では、東京の島々が持つ素晴らしい景観や特産品、文化などの地域資源を磨き上げ、高付加価値化を図ることで、東京の島しょ地域のブランド化を目指す『東京宝島事業』に取り組んでいます。

東京都総務局行政部振興企画課
東京の島しょ地域のブランド化を目指す『東京宝島』事業

この記事で紹介したお店

KAIDO 海堂 六本木

住所:東京都港区六本木7-5-11 カサグランデミワ1F

TEL:03-5775-7115

営業時間:17:30~23:30(定休日:日曜、祝日)

文:大塚千春 写真:山出高志

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