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速水もこみちさんは、お弁当がお好き➀

速水もこみちさんは、お弁当がお好き➀

速水もこみちさん初の弁当レシピ本『お弁当バイブル』。ずっしり重い一冊に、弁当づくりのノウハウを詰め込みました。掲載レシピ337品に込めた想いを語ります。

弁当をつくるすべての人へ。

鶏ごぼう弁当
「鶏ごぼう弁当」は、ウインナーの卵焼きと花形のれんこんでキュートに演出。

手づくりのお弁当って、それぞれの家庭の色が出ていてストーリーがある。そんなところに色気のような魅力を感じるんです。でも、お弁当づくりをしている人たちからは、ワンパターンでマンネリという悩みもよく聞きます。日々、お弁当づくりを頑張っている人たちのために、僕なりにお手伝いができたらいいなと思ったんです。

速水もこみちさん
速水もこみちさんは1984年生まれ、東京都出身。
MOCO'Sキッチン
2011年より「ZIP!」内のMOCO'Sキッチンに出演して、得意の料理を披露している。

アイデアをひねり、愛用のスケッチブックにレシピを書き起こした。撮影は3日間に及び、朝から深夜までひたすらキッチンに立ち続けた。

単純計算すると、1日につくる料理は100品以上。詰める工程もありますから、まさしく時間との戦いでした。時計を気にしながら切って炒めて。休む間もないぐらい。家族が出かける時間に合わせて、毎朝、お弁当づくりする人たちの大変さをリアルに感じることができました。

アジフライ弁当
「アジフライ弁当」は、色とりどりの野菜のおかずで彩る。健康と美容を意識する女性におすすめ。

撮影直前になって、急遽、食材の5段活用術を追加した。1つの野菜を切り方や調味料を変えて5パターンに調理。にんじんなら細切りにして鰹節で炒めたり、半月切りにしてクミンの香りをまとわせたり、輪切りにして豆板醤で味付けしたりという具合だ。

『もう1品欲しい』『この隙間を埋めたい』というときに、余った野菜でおかずができたら助かるだろうなと思って。家庭には買ったものの、出番が少ない調味料って結構ありますよね。それを救済するのもこの活用術の狙いなんです。僕の周りでは『これは使える!』と喜ばれています。

盛り付けは、発想しだいで楽しめる!

豚肉大根エスニック風弁当
「豚肉大根エスニック風弁当」は、東南アジアがモチーフ。豪快さが午後の元気を生み出します。

見た目が寂しい、おいしそうに見えない、持ち歩くと偏ってしまうなど詰め方も弁当の悩みのタネだが、この本で速水流のコツが伝授されている。

お皿に盛る場合、“どう飾るか”ですが、お弁当は“どう組み合わせるか”。それを考えるのは大変ですが、面白さでもあるんですね。僕の場合、アルミカップなど市販の仕切りは使いません。ナチュラルじゃない気がして。タレが絡むものや汁気のあるものは、ごはんの横か上に入れる。液だれが防げるし、たれが染みたごはんがまたおいしいんです。

牛もも肉とパプリカのオイスター炒め弁当
「牛もも肉とパプリカのオイスター炒め弁当」は広東風の牛肉炒めをメインにして、中華風にコーディネート。

味が混ざるのを防ぎたいときは、レタスなどの野菜を仕切り代わりに使うと、見た目がグッとよくなるそうだ。このような実用的なアイデアを取り入れつつ、「つくる人が楽しむことも大切です」と速水さんは言う。

ルーティンのお弁当づくりは、どこかで空気を変えないとただの作業になってしまう。それでは楽しくないですよね。僕が提案しているのは、シチュエーションの設定です。たとえば、野球男子のためのガッツリ弁当、ハレの日のお祝い弁当、働きに出るお父さんが持っていく中華弁当……。『今日はこんなイメージのお弁当をつくろう』と思うと、自然におかずも浮かんできて、つくるのが楽しくなっていく。バリエーションが出せるよう、お弁当箱も何種類か用意するといいですよ。

料理人、速水もこみち。

タンドリーチキン弁当
「タンドリーチキン弁当」スパイシーな味は、ごはんと良く合う。

そんな発想は「料理が好きでたまらない」という速水さんだから思いつくこと。アイデアの源泉はどこにあるのだろうか。

外で食事をしたときにヒントをもらうこともありますが、ほとんど自分の頭の中で生まれています。あれとこれを組み合わせたらおいしんじゃないか、この食材を使ってこんな料理どうだろう、などと自然に閃くんです。海外ロケで見たこともない食材に出会ったり、その国の歴史や食文化に触れたりするのも僕にとってはアイデアの素。フランスロケでは、現地で星付きの日本人シェフたちと一緒に料理をしたのですが、ものすごく楽しくて勉強になりました。

弁当づくり
忙しい朝でも、簡単、素早くが弁当づくりの基本。
つくり置きのおかず
つくり置きのおかずの有効活用が弁当ライフを充実させる。
野菜たっぷり
不足しがちな野菜をたっぷりと摂れるのも弁当の魅力。
揚げ物
揚げ物はおかずが寂しい時の救世主。

普段も料理知識の勉強を怠らない。薬膳、野菜ソムリエ、食育などに関する講座も受講し、食品衛生管理者の資格まで持っている。

ひとつの道を極めるのが一般的な料理人なら、僕の強みはさまざまなジャンルをつくり、そこにオリジナリティを出せるところだと思っています。その部分を意識して撮影にのぞみました。

『お弁当バイブル』でも、和食、洋食、中華、エスニック、イタリアンなど幅広い料理が網羅されている。その中からロコモコ弁当、カジキのステーキ弁当、ごはんロールをピックアップ。次回からレシピ付きで紹介していきます。

お弁当バイブル by 速水もこみち
お弁当バイブル by 速水もこみち
337種類のメニューを紹介!
おかずバリエーションが増える、素敵な詰め方がわかる、彩り美しい傑作がつくれる……、速水流のアイデアが満載!

テレビなどで活躍する速水もこみちさんが「お弁当」クッキングを初公開!
おいしく楽しい「おかず」のつくり方、あざやかな彩りを演出する詰め方、お弁当のバリエーションを飛躍的に広げる画期的な方法も伝授します。しかも、すべてのメニューが、速水流のステキなワザで、素早く、カンタン、時短でクッキングできるので、忙しい朝にもピッタリ。子どもが喜ぶ、あの人が驚く、そして自分自身も大満足する……、そんな「お弁当」がつくれるようになります。しかも、広開本なので、見やすく開きやすい、本当に使える1冊です!!

B5判(160頁)
ISBN:9784833451369
2018年10月17日発売 / 1,512円(税込)

文:上島寿子 写真:赤石仁

上島 寿子

上島 寿子 (文筆家)

東京生まれで、銀座の泰明小学校出身。実家がビフテキ屋だったため、幼少期から食い意地は人一倍。洋酒メーカー、週刊誌の記者を経て、フリーに。dancyuをはじめ雑誌を中心に執筆しています。